(82)ゴマ 広報誌2026年1月号掲載

9月末にゴマを刈った。6月半ばに種をまき、ウルノイデ(間引)ほったらかしておいた。「ヒデリゴマ」というようにカンバツ旱魃には強かった。花が咲いたなとか実がなったなとか、時々横目で見ている。葉っぱが下から黄色くなってきた。そろそろかなと思っていた。ある日見にいくと下のほうの実は茶色くなっていた。種(ゴマ)がこぼれているのもある。アキャー、こらたいへんだ。スンマ刈ラネジャナンネー。

ゴマの木は一メートルほどのまっすぐな茎にびっしり葉がつき、そのねもとに花が咲き実がなる。実はズラズラと並んだ特徴ある姿だ(写真)。花は下から上に順に咲くので実がいるのもその順。早く刈ると上のほうはまだシイナだし、遅くなると下の実は口をパカンとあいてゴマがこぼれてしまう。拾うなどできない。

で、家に帰り、柄の長い剪定鋏をもってきた。茎はかたいのでカマよりこれが楽。一本づつチョキンチョキンと刈り倒す。この時口が開いたのからは容赦なくゴマが地べたに落ちる。あーもったいない、がドーシテミヨヨもない。あきらめる。よく見ていない自分が悪いのだ。

刈ったのをまとめて縄でしばって家にもってきたら、一本づつ、不要な茎の下部は切り捨て、葉ももいで小束にする。ワラで2ヶ所をマルケル。ギュッとしめてねじったのをしめたワラにねじこむ。縄やひもで結ぶよりかんたんで早い。(このやり方に名まえはあるのか。ツナギでもこうする。見よう見まねでおぼえた)ほどきやすくて合理的だ。それを軒端に立てかけて干す。倒れないようにしばっておく。こういうやり方の細部は、山の村の農家出身の母に習った。というか、まかせておいたらこうやっていたので、ああそうかと了解したのだ。こういう手順の細かいところは、知ってると知らないじゃ大ちがいだ。一から自分で工夫するのはたいへんだ。

干してあるのはだんだんカラビてくる。ナカラいいとなったら天気のいい日にシートをひろげてゴマオトシだ。あっけないほど簡単。束を横にしただけで、開けゴマ、オープン・セサミ、ザーッとゴマがこぼれる。(なので干しておいたすぐそばにシートを広げる)とんとんと軽くたたいてさらに落とす。まだ残っているかもしれないので元の場所に立てかける。(また干してもう一回オトスのだ)これを小束ごとに繰り返す。

終わると、シートにはゴマとゴミの混合物がのこる。まず大きなゴミ(アラゴミ)を手で拾う。次にタカミでハギル(風選)。これでゴマと小さいゴミ、ベトの粉、砂が残る。この選別は超難関。いいトーミ(唐箕)があればいいのだが。

考えた末に、フルイを買った。ゴマの粒より大きい目(メッシュ)のと小さいのを。この二つをトオス(フルイをトオシともいう)ことでほぼゴマだけを残すことに成功した。あとは目視で砂粒を拾う。やっとなんとかなった。

……なんでこんな苦労をしてまでゴマを作っているかというと、うまいからです。現在日本では流通している九九パーセント以上が輸入ゴマだという。それでゴマ和えなどを作るといっそンーマクネー。香りもなにもない。おぼえている昔のとちがう。それで、自分で作ってみたらンメェー、昔の味になった。で、毎年、作ラネジャナンネーです。

でも一ツ心配がある。近年ゴマムシという黄緑色のイモムシ(大きくて見つけるとギョッとする。スズメガ科のシモフリスズメの幼虫という)が、ゴマにたからないのだ。かなり遠くからでも食草のゴマのにおいをかぎつけて来るというのだが。どうして。

(我田 大)